みんなの地麦 北海道産小麦でつくったおいしいもの食べてみませんか?

2018年度の取り組み

北海道産小麦を選べる幸せが、持続するために  〜2018年度を振り返って〜

みんなの地麦推進協議会 深江園子

2018年シーズンも北海道の小麦は金色に実り、粉に挽かれて工房へ、お店へ、そして生活者の皆様の手に渡っていきました。北海道は広く、いくつもの県が集まったのと同じほど地形も気候もさまざまです。二大産地である十勝とオホーツクをはじめ、ひとくくりに語れないほど多様で、その多様さが生産の安定にもつながります。品種は春秋6~7種から地域ごとに2 ~ 3種栽培されることが多く、地域限定の個性的な品種もあります。

今後、日本の農業の情勢が厳しくなっていくと、作物は経営が成り立つ品目に集約されるでしょう。国産小麦、北海道産小麦を食べたい方、使いたい方にとっては「選ぶ」ことが意思表示の方法です。使う方は地元の麦をより魅力的に表現し、選ばれる商品にして頂くこと。食べる方はそれを選んで頂くこと。それが何より強く持続性のある意思表示です。例えば、かつては輸入小麦が適していると思われていたパンやパスタ、中華麺などは、食のブームとともに差別化が進み、国産小麦、北海道産小麦の活躍の場になりました。

2018年9月には北海道胆振東部地震が起きました。海岸線に山が迫る、美しいこの地域の痛ましい状況が繰り返し報道され、ブラックアウトは暮らしに影響しただけでなく、食品工場や飲食店も営業を妨げられました。小麦畑にとっては、春の低温や地震の前週に受けた台風の影響もあった年でした。何かが起きるたびに、「いつでも何でも選べる生活」は、当たり前ではないのだと痛感します。作った人に会える小麦。景色を見に行ける小麦。おいしくて個性豊かな小麦。日本の豊かな食を陰で力強く支える北海道の小麦の魅力を、今後もユーザーと生活者の両方に発信していきたいと思います。

活動とPR

◆活動報告① 小麦の輪交流会(道北)

2018年7月5日に訪問した名寄市では、隣接する士別市、下川市、美深町の生産者と実需者が集って語り合う「小麦の輪 交流会」を実施しました。天塩川流域と呼ばれる同地域には単独でブランド化や6次化を行うパワフルな生産者や実需者が多く、それだけに「お互いが集まって交流したのは初めて」とのこと。世代も立場も異なる25人が語り合ったこの日をきっかけに、9月には地元の実需と、小麦農家を含む生産者有志が連携。商品開発と発信のために「アマムの会」を設立しました。翌1月には当会となよろまちづくり観光協会の共催で、小麦の価値創造セミナー、小麦農家とイタリアンシェフ、リテイルベーカリーシェフのクロストークを実施しました。アマムの会メンバーは新商品を次々と開発中で、販売とのマッチングにも取り組んでいます。この経緯をレポートし、「農家の友」にも掲載されました。

◆活動報告② 小麦の食育「今日からできる 親子パン教室」 (札幌)

2018年9月15日、コープさっぽろキッチンスタジオで実施した「小麦の食育」(森本まどか講師、アトリエ タブリエ)は、昨年大好評だったオホーツクの回に続き、麦の穂がパンになるまでを学ぶ充実したプログラムです。北海道産小麦100%の同社オリジナル小麦粉「わたしのパン」をご提供頂いた橋谷株式会社様がご用意くださった品種別の玄麦や、森本講師が農家で刈った麦の穂を手にとりながら、北海道が日本一の小麦産地であること、実は札幌近郊でも目にしていることを学びました。玄麦を、地元レストランからお借りした小型製粉機に入れて白い粉が出てきた時の印象は強烈だったようで、それを使ったパンをこねる時も熱心に取り組んでいました。家のおかずでもつくれるよう、焼き上げたコッペパンには焼きそばと卵サラダをサンドしました。

◆活動報告③ 道産小麦パンセミナー&パンの購買行動調査(札幌)

2019年2月19日、株式会社カネカ北海道様を会場に、パンの購買経験と知識の異なる3グループ17人の生活者に向け、道産小麦パンの味わいと価値のPRを目的に実施した、セミナー&グループインタビュー。前半は、天方慎治講師(株式会社満寿屋商店専務取締役)、森本まどか講師(アトリエ タブリエ)のお二人による「小麦畑とパンのつながり」がテーマのスライドトークと、春よ恋、キタノカオリ、きたほなみ、3品種の食パン食べ比べ体験。後半は、満寿屋商店様とアトリエタブリエ様の人気商品を並べた夢の道産小麦ベーカリー(平台陳列)でパン選びを体験していただき、北海道産小麦パンの購買意欲の変化と行動決定要因についてインタビューを行いました。募集時にはFacebookのパン愛好者グループの協力を得て、参加者含め300人規模のアンケートも実施しました。

◆活動報告④ 関東ユーザー講習会(東京)

2019年3月7日、神田神保町の株式会社山本忠信商店東京営業所ラボを会場に、リテイル、パン講師、バイヤーなどパン業界関係者10名に向けて道産小麦セミナーと講習会を実施しました。前半は、十勝の製粉会社である山本忠信商店様による小麦畑のレポートと、きたほなみ、ゆめちからのリュスティックの食べ比べで産地の状況を感じて頂きました。続いて、小麦畑とつながることで生まれるモチベーション(森本まどか講師、アトリエ タブリエ)、十勝産小麦100%に転換を果たしたベーカリー企業の取り組み、株式会社満寿屋商店のアプローチ(天方慎治講師、株式会社満寿屋商店専務取締役)について発表が行われました。後半は、お店の商品の半数以上を国産小麦で製造している伊原靖友講師(株式会社ZOPF)による道産小麦パンのデモンストレーションと「国産小麦の売れる使い方、売れるお店づくり」のトークが行われました。途中、満寿屋商店でも使われる小麦粉を製造販売する十勝の小麦農家、前田茂雄氏(株式会社前田農産)が来場。「小麦農家も食べ手とつながる時代。直接会うことで互いに意識が変わるのでは」という生の声に熱心に聞き入っていました。

メディア掲載

メディア掲載①

コープさっぽろ月刊誌「Chocotto」広告2ページ北海道在住の食にこだわりを持つ読者に向け、ごく身近な小麦畑の存在と、地元の小麦を食べるという北海道ならではの価値をPRしました。

メディア掲載②

農家の友「小麦キャンプ2018レポート」

(公社)北海道農業改良普及協会発行「農家の友」2018年10月号より

メディア掲載③

農家の友「小麦の輪交流会inなよろ レポート」

(公社)北海道農業改良普及協会発行「農家の友」2018年10月号より